PTA副会長の後藤です。
1月に学年委員さんの定例会でとても興味深い会をされていらっしゃいました。
子どもに関するプロフェッショナルの神林俊一さん(かんぺーさん)を(Zoomで)お招きして、学年委員さんとの座談会を行っていました。
保護者の皆様にも有用な情報があると思いますので、学年委員さんにお願いして共有させていただくことにしました。
学年委員さんで作成した議事録は下記にありますが、サイトにも転載いたします。ぜひご覧ください。
******以下、転載******
学年委員座談会 with かんぺーさん のご報告
〈2月10日(土)に関連企画!どなたさまもお気軽にどうぞ〉
1月の学年委員会定例会では、冬休みをはさんだ子どもの様子について話を持ち寄る時間を持ちました。
ランチルームの大きなスクリーン越しに、世田谷区(全国でも!)ただ一人の外遊び推進員であり、プレーワーカー/チャイルドファシリテーターの神林俊一(かんぺー)さんにも入っていただき、グループごとに提供された話題のひとつひとつに、子ども視点でのコメントをもらいました。
(かんぺーさんは弦巻小の学校運営委員会委員でもあり、昨年度は学年委員会のアドバイザー+単P研修講師も引き受けてくださった、強力な助っ人です。)
話題は、
【大震災や事故の影響】
【長期休み明けの行きしぶり】
【クラスの中の心配ごと】
【生活リズム(寝不足)】
など。
出てきた話はどれも親からすると「困ったどうしよう」なのですが、かんぺーさんからはひと言目に「それはよくあることですねー。」
え?これ、普通のことなんですか??
「まあまあ(笑)みなさんまずはリラックスしてください。こういう話をするときは、ほんとはお茶とお菓子がほしいところなんですけどねー。」
こんなふうにはじまった、かんぺーさんのコメントタイム。
話をしながら「これはみんなで共有したほうが良いのでは」と思われることがたくさんあったので、この場を借りて共有します。
「わかるわかる」という方にはすぐに参考にしていただきたいですし、「自分のまわりでは聞かないな」という方も、いつか「あの時聞いた話は、このことか」と思うタイミングがあるかもしれませんので、こんな話があったな、と頭の片隅に置いていただけたらと思います。
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◆たとえば地震ごっこなどをする様子が見られたとき:
▷子どもは、身に起こったこと(実体験でも報道等に触れるだけでも)を遊びを通じて追体験することで、それを理解し、乗り越えようとします。それをレジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復しようとする力)と言います。地震ごっこのような行動が表に出せるということは、それだけその場に安心している、ということでもあります。これをやめさせてしまうと、心の中にたまってしまい、何年も経ってから急に心身の変調として現れることもあります。不謹慎だと思っても、ゆったり見守ってあげてほしい、その子にとって大事な時間です。
▷でも、ガラガラガシャン、とやっているのをそばで見ていると、きょうだいや親自身がしんどい気持ちになってしまうこともありますよね。子どもは、親が安心できていると、自然に安心できるようになります。だからまずは自分のケアを。自分の不安を外に出してみること、人に話してみること、それだけでもきっと少し気持ちが変わります。
▷子どもがいつもと違う様子を見せていることに気付いたら、まわりの人や学校も頼って、一緒に見守っていける状況をつくれたら良いですね。
▷見守る大人たちのために、IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)から「危機的状況における遊び:子どものくらしにかかわる人のガイド」が公表されていますので、みなさんぜひ参考にしてください。
◆(大震災などのニュースに触れても)いつもと変わらない場合、元気そうな場合:
▷実は前の話のように「いつもと違う様子を見せる」ことは、ある意味健康的なことなんです。他方で、不安の表し方がわからない、無理に元気にふるまう、といったケースもあるので、表に出て見えることを過信せず、「もしかしたら」という別の目線も持っていていただけたら良いと思います。
◆長期休みの後の行きしぶりについて:
▷大人だって、長期休み明けって疲れますよね?子どもも当然、疲れます。
▷これまでの話と同様、行動に出せることは健康的なことですから、まずは見守ったり、話を聞いてあげたりしてください。
▷ほかにも、子どもからのシグナルは、急におねしょをする、暴力的になる、過度に甘えたがる、さまざまなかたちで出てくる可能性があります。大人は、そのシグナルを見逃さないでいてほしいです。
▷子どもがシグナルを出すのは、親の前に限りません。親が大好きだからこそ、言えないこともあるんです。そういう時は、外に連れ出すと少しずつ気持ちが出てくることがあります。友だちや先生、斜めの関係にいる大人に話してくれることもありますし、全く関係ない人だったら安心してしゃべれる、ということもあります。
◆集団生活での落ち着きのなさや、心配な行動が気になるとき:
▷ひとつの大きな見方として、本来であれば3才前後、けんかをして手が出たり、おもちゃをとりあったりしながら他者との関わり方を身につけていたところ、怪我やトラブルを避けるためにまわりの大人が先回りして止めてしまう(止めざるを得ない)ような、過剰に安全な環境が増えていて、また、新型コロナが人との関わりを難しくさせた、そういう背景があります。「○○をやったら相手がいやな気持ちになるだろう(→だからやらない)」ということがわからない子は増えています。
▷その場合、小学校の集団生活のなかで「良くない」と思われる行動が出てきても、それ自体はその子にとっておそらく自然なありようなんです。
▷とはいえ、結果引き起こされる対人トラブルなどで本人が困っているとしたら、それはやっぱりどうにかしてあげたいですよね。やられる側の子がいたらその子はもちろん困っているし、やっている子も困っています。
▷じゃあどうしたら良いかというと、親や先生がどうこう以上に、子どもは結局、他の子どもとの関わりの中で育つんです。
▷子ども同士が関わりあえる場所は学校だけじゃありません。いまいる集団・コミュニティのほかに、新しいコミュニティをつくることもできる。親同士がつながれば、その環境をつくってあげられるんです。いま隣にいる人・相談しやすそうな人に相談してみる、そんなことからはじめても良い。みなさんやさしい人たちですから、一緒に考えてくれたり、違う居場所につないでくれる人がきっと身近にもいます。弦小界隈でも、つながりや居場所になるような活動、すでにいくつもありますよね。PTAもそうだし、遊び場、サークルや地域活動、趣味のことでも。
▷そして、自分のまわりに困っている人がいたら。「気付いてしまった」あなたから、ぜひ手を差し伸べて、話を聞いたり、人や場につないだりしてほしいです。いわゆる「斜めの関係」が、とても大事です。
◆寝不足について:
▷長期休みをはさんで生活リズムがくずれて朝起きられない、という事例について。実は、睡眠に関してはずいぶん前から「夜良く眠れない」ということを言う子が増え続けています。原因はもうはっきりしていて、日体大の野井先生が「光・暗闇・外遊び」というスローガンで発信されていますが、夜ぐっすり眠るための睡眠導入ホルモン「メラトニン」は、昼間日光をあびること、夜暗さを感じることで数値が上がるんですが、これが夜不足しているんです。外遊びをしなくなっていること、夜までスマホ・タブレット画面を見ることなどが影響しています。
▷だけど、だからといって、日中外に連れ出すような生活に変えられるか、画面から離せるか。仕事もあるし、塾もあるし、簡単にはいかないですよね。これは、子どもが悪いわけでも、親が悪いわけでもなくて、社会の課題なんです。
▷それでも、できる範囲で外に出て光を浴び、夜のスクリーンタイムを減らすことで、身体のリズムは変わってきます。それを知っておいてほしいと思います。
◆自分のことが好きじゃない子どもたち、外遊びをしない子どもたち:
▷世田谷区の平成30年度生活実態調査結果でも出ているのですが、「自分のことが好きか」と聞かれて「思わない」と答える子どもの割合がすごく多く、中2では1/3です。どうにもならないことが多い世の中であっても、これだけは、どうにかしないといけないことだと思っています。何故かというと、このことが、自分の命を断ってしまうことに行き着きかねないからです。
▷放課後自由に外遊びをする子は減っていて、毎週の予定が習いごとまたは新BOPでほぼ埋まっているというケースも珍しくないです。ここまでに出てきたとおり、外遊びにはいろいろな効用がありますが、忙しさゆえにそれが出来ない子も多いんです。
▷今年度も生活実態調査が実施され、年末に速報値が出たので今はクロス集計が進んでいるところですが、外遊びと、自分が好きかどうかには、相関関係が出てくると思っています。
******* 以上 ******