PTA会長 岡田憲治
#004 「わかるとは“何を”わかっていることなのか?」
お話も長くなってきて、ちょっと頭がこんがらがってきた人もいるかもしりません。
でも大丈夫です。わざとそうなるように書いているからです。本当です。 このずっと先にわかりますが、わかるようになるには、一度頭をくにゃくにゃにする必要があるんです。
さて、前回は「知っているけれどわからない」という、私の子供のころの話をしました。今回は、わかるわかると言うけれど、「いったい“何を”わかるのか?」という話です。
私が小学校の時につまずいた分数の話では、「わかるということは、頭の中に思い浮かべられる」ということでした。でも、「わかること」の中には それ以外にも、まだまだあります。それは「どうしてそんなことになったのかがわかる」という、「わかる」です。イメージじゃなくて、「理由や原因がわかる」という話です。
例えば、私たちは雨雲がでてくると雨になるということを知っていますし、わかります。 黒いぶ厚い雲が雨を降らせるということをわかっています。でも、どうして雲が水てきとなって降ってくるのかについては、あまりその理由を詳しく説明できません。
暖かい、湿気を含んだ空気が上がって雲を作り、その水分の重さにたえられなくなって雨が降ってくるという、雨になる「理由」がわからないと、「空が暗くなると雨になる」と知っているだけでは、わかっているとは言いませんね。
同じことは社会科の時間にも出てきます。またまた昔の話でもうしわけないのですが、小学校の社会科の授業で、江戸時代の徳川将軍15人の名前を覚えた私は、得意になってそれを先生に言ってみせました。
先生は、「よく覚えたね!いいね!でも岡田くん、どうして江戸時代は将軍を15人も続けてだせるほど長く続いたんだろう?」と尋ねられて、「うぐぐ」と詰まってしまいました。 私は、江戸時代が300年近く続いて、15人もの将軍を出したことは知っていたのですが、どうしてそんなに長く続いたのかについてはわかっていませんでした。
幕府を守った将軍たちは、ひんぱんに地方の大名を江戸に呼びよせたり、外国との商売を禁止したりして、大名があまりお金を持ちすぎないように徹底的にじゃまをしました。それが江戸幕府の長く続いた理由の大きなものの一つです。
そういうことをわからないで、ただ将軍の名前を知っていてもしょうがないのだと、私はそのとき教えられました。同じことはアメリカの大統領の名前という例でも言えます。「トランプ」という名前を覚えることは大事ですけど、「どうしてああいう人が大統領になってしまったのか」、その原因や理由を「わかっている」ことが、実に大切です。
学ぶことと、勉強することのびみょうな違いについて前にも触れましたが、人物の名前や出来事の年号などを覚えるのには、やはり頑張りが必要ですから、あらためて学ぶということにはたくさんのことがふくまれているのだなと思います。
次回は、「わかる」の中でも、「心の底からわかる」というお話です。
つづく。